20120629  地域の大切な谷戸の生態系を破壊している大村秀章愛知県知事――大村知事は何故愛知県の失政を正そうとしないのか


 

5月10日、環境省は、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全する「ラムサール条約」の登録湿地に、愛知県豊田市の東海丘陵湧水湿地群(22.5ヘクタール)他、9カ所を登録することを明らかにした。この7月にルーマニアで開かれるラムサール条約第11回締約国会議(COP11)で正式に登録される見込みとのこと。

正式に登録されると国内の登録湿地は、釧路湿原(北海道)、琵琶湖(滋賀県)、谷津干潟(千葉県)、奥日光の湿原(栃木県)などを含め計46カ所(1379・68平方キロ)になる。  

今回の候補地は、 大沼(北海道)、渡良瀬遊水地(茨城、栃木、群馬、埼玉各県)、立山弥陀ケ原・大日平(富山県)、中池見湿地(福井県)、東海丘陵湧水湿地群(愛知県)、円山川下流域・周辺水田(兵庫県)、宮島(広島県)、荒尾干潟 (熊本県)、与那覇湾(沖縄県)の九カ所。 世界では12年5月現在、約160カ国2006カ所(193万平方キロ)の登録湿地があるとのこと。                                                      

今回選ばれた愛知県豊田市内の東海丘陵湧水湿地群(22.5ヘクタール)は、矢並湿地と上高湿地と恩真寺湿地-)。

このうち湿地自体は1.22ヘクタールとわずかだが、当然それを育む周辺の斜面が「集水域」として含まれることになり、22.5ヘクタールが対象域となるとのこと。登録されれば一変して生態系を大きく損なうような土地利用は、条約の原則に反するとして事実上できなくなる

今回の指定を受けて豊田市は、これまでに準備をしてきた自己所有の矢並湿地と、他の2湿地をその所有者から借り受けて、各自然保護団体と連絡を取り合って保全体制に入る姿勢を見せている(-)。

この豊田市が登録を受ける「東海丘陵湧水湿地群」は、今春愛知県立芸術大学音楽学部の約140メートルにもなる巨大な校舎を建てると言って大村秀章愛知県知事が破壊した、長久手の谷戸の湿地環境と多くの共通点を持っている。

この「東海丘陵湧水湿地群」には、愛知県立芸術大学音楽学部棟建設現場の谷戸と同じ下記の希少生物が生息していることが報告されている。

ハッチョウトンボ(レッドデータブックにおける絶滅危惧II類)、ハネビロエゾトンボ(レッドデータブックにおける絶滅危惧II類)、シラタマホシクサ(レッドデータブックにおける絶滅危惧II類、東海丘陵要素植物)、トウカイコモウセンゴケ(レッドデータブックにおける「外」、東海丘陵要素植物)、ハルリンドウ、サギソウレッドデータブックにおける絶滅危惧II類)ホトケドジョウレッドデータブックにおける絶滅危惧IB類)、ウシモツゴ(レッドデータブックにおける絶滅危惧IA類)、ヒメタイコウチ(絶滅危惧種、氷河期の遺存種、愛知県西尾市は天然記念物に指定)。           

これらは皆愛知県立芸大音楽学部棟建設現場及びその目の前の各所に生息しており、長年地域の人々や大学の皆さんたちに大切に見守られてきている。

また愛知県立芸大音楽学部棟建設現場周辺には、これらに加えて河床の礫に着生している他では見られない多くのカワモズクレッドデータブックにおける絶滅危惧I類)カワムツA型(稀産種)、スジシマドジョウ小型種東海型(レッドデータブックにおける絶滅危惧IB類)等の淡水魚類、カワニナ、ナミウズムシ、スジエビ、ヌマエビ等の水生生物、トビケラ・カワゲラ・カゲロウ等の底生生物、マメナシ(レッドデータブックにおける絶滅危惧IA類、東海丘陵要素植物)等も生息し、ギフチョウ(レッドデータブックにおける絶滅危惧II類)等の他の希少昆虫類、鳥類、樹木も数限りなく、他では見つけられない独特な湧水環境を成り立たせており、豊田市の「東海丘陵湧水湿地群」とは別の意味で各方面から注目されている。

今回大村秀章愛知県知事が執行しているキャンパスの増築行為は、地域の水源として大切に保持されてきた天賦の財を奪い、大村秀章愛知県知事に提出された多くの質問にも無回答のまま放置して、いくらでも他の安価な解決方法があるにもかかわらず諸税を無駄に使って貴重な生態系の生息する環境までも破壊するという余計なことまでしてしまう、実にその手腕が疑われる無駄な出資行為の連鎖である。大村秀章愛知県知事が選挙で公約した内容そのものの虚偽を露呈してしまっている。

昨年5月、1998年の愛知万博「海上の森」問題の時と同じく、この愛知県立芸術大学音楽学部棟建設予定地に絶滅危惧種のギフチョウが卵を産み付けるスズカカンアオイ(希少種)の大群落(300個体を越える)が生息していることを示す、県民の皆さんの賢明な現地環境調査報告結果を突きつけられた愛知県と大学法人は、あわててそれに対応する調査事業を始めて形だけは整え、さらに今回のマスタープラン2011作成委員会の最中に、建設現場内にあるスズカカンアオイを引き抜いて移植させ、代替だとしてビオトープを作ることを検討し始めたとのこと。

これは、全くその意味するところを理解できない、愛知県の財産を奪っていく今の管理者たちの度重なる自己擁護策に過ぎない。

九カ所の候補地は、七月にルーマニアで開かれるラムサール条約第11回締約国会議(COP11)で正式に登録される。

2010年生物多様性条約(CBD)第10回締約国会議(COP10)を支援した愛知県が、今回指定された「東海丘陵湧水湿地群」と同じ性格を示す、現在工事中の愛知県立芸術大学の新校舎建設工事現場の長久手の谷戸を未調査無説明のまま計画し破壊した暴挙は、とてもこの10月にインドで開かれる次の生物多様性条約第11回締約国会議(COP11)には知られたくない愛知県の事業となっている。

2010年のCOP10会議の折、その公式エクスカーションとして矢並湿地に案内されたというCOP10のメンバー達は、そのCOP10の会議を支援していた愛知県の新しい大村秀章愛知県知事が、矢並湿地に並ぶこの愛知県立芸大音楽学部棟建設現場の貴重な湿地環境を必要も無く今まさに破壊している事実を知ったら、何と受けとめるであろうか(注-3)。 

 

 -1 :   ラムサール条約湿地の登録|豊田市ホームページ 」         

 注-2 :  「豊田市自然観察の森、矢並湿地について      

                    (http://www.toyota-kansatsu.com/sitemap.html) 」                        

  -3 :  「 湿地巡り:東海丘陵湧水湿地群(矢並湿地等/愛知県) 」     

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