大村秀章知事様、河村たかし市長様、


                                                                 平成23年4月24日

大村秀章知事様、河村たかし市長様、

 
お忙しいところ再度恐れ入ります。
この3月に愛知県立芸術大学施設整備のことで進言させていただきましたものです。
また突然のFAX送信で申し訳ありません。
明日4月25日から外人公舎と女子寮の取り壊しが始まるとお聞きしましたので、何とか御再考していただけますようお話をさせて頂きたく、お便りさせて頂きますことを御許し下さい。

 

        ―取り戻せなくなる水源域と工事開始の問題点―

4月16日に自然観察会があり、長年この愛知芸大のキャンパスの移り変わりを見てこられた方々のお話をお聞きする機会を得ましたので、ご報告させていただき、意見を送らせて頂きます。
まもなく壊すという外人公舎の近辺は、コゲラの声が聞こえ、新芽があちこちで顔を出していて、とても他大学では遭遇できないめぐまれた自然環境が、地域の皆さんの気づかいで維持されていました。
そこには、管理棟側からでは普段は察知できない光景が広がっています。
今、県と法人が進めている新音楽学部校舎建設の予定地は一の池の北側一帯の谷間の西斜面にあたり、そこに愛知芸大の尾根の上に南北にそびえ建つ講義棟とほぼ並行に、今の講義棟とは比べものにならないボリュームの新音楽学部の巨大な建物が、その斜面にある4つの沢をまたいで140メートル以上の長さで南北に建てられるとのことです。その工事が始まればこの谷間は取り返しの付かないことになるのを改めて確認しました。
参加した方々は、何故こんなところに大変な無理をしてわざわざ校舎を建てる必要があるのかと、不思議がっておられました。
その斜面にはギフチョウが産卵するカンアオイが一杯顔を出していました。また堀越川の源流となる清流にはタイコウチやカワニナなど貴重な水生昆虫やめずらしい小魚がいろいろ発見され、その調査結果のお話を是非聞かせて頂く機会があればと思っています。
数年前過労でやむなく退職に追い込まれてしまった中村洋子先生に教わった学生も初めて訪ねたとのこと、皆で「愛知芸大生き物MAP」を作られた中村先生のこの環境への思い入れがどれほどであったか実感できました。
他大学ではとても体験できない、愛知芸大キャンパスの秘めたる底の深さに改めて驚かされました。ちょうどモウセンゴケやハルリンドウがいたるところで確認され、こんな大地との出会いの場を持つ芸術大学の環境は、いくらお金を積んでもとても手に入れることはできないことが痛感されました。
何故絶滅危惧種も生息するこの谷間を、わざわざ難工事をしてまで巨大なハコモノでおおいつくさねばならないのか、他にも学内の中にいくらでも場所があるのにと皆さんお話をされていました。
特に今回の計画で、南北の尾根の西側への水系を確保する治助トンネルの維持を考慮に入れていないように思われる点は、根本的に長鶴池から中池、その他の環境保持を軽視しているものと推察されます。
本計画を進めてきた大学の施設整備委員会は、環境アセスメントすらせずに大手設計事務所と改築計画を進め、COP10を主催した県も全体計画を決めずに、この計画に着手してしまったこと自体、法人と県の体制そのものに大変な欠陥があることが各所で問題となっています。
開学以来45年近くの歴史を積み重ねてきた、この若人が集まる愛知県唯一の公立芸術大学の場を、一部の人に操作されるのはもうやめにして、皆さんがそれぞれの秘めたる可能性に向けて自由に羽ばたけるよう、このキャンパスの体制そのものを改善していくことこそ、今求められているのではないでしょうか。
今までの中途半端に済ませてきた校舎維持の問題点を帳消しにするためにも、わざわざこの斜面一体を犠牲にして、今回ここにピカピカの新棟を建てて、スクラップアンドビルドの道に踏み込むということは、この震災と原発問題に揺れる今、本当に社会が取るべき選択肢なのでしょうか。
直しは不可能、全体計画は白紙と言い続ける一部の先生たちに誘導されて、先の見えない今回の改築工事と、県民の資産である外人公舎と旧学生寮の取り壊しをしてしまっていいのでしょうか。本当にそこまでやる必要は全くありません。
学長も施設整備委員長も音楽学部長も今の音楽棟は直せないと説明されるわけですが、いくらでも改善する手法はあるわけで、東京芸大など他の大学はそれを地道にやってきています。たまたま大手設計事務所がそれを示さずに長年コンサルをしてきたことが問題を複雑にしてしまいました。
本当にいろいろと疑惑に満ちた今の大学の体制が伝わってきます。
法人化を受け入れてもらうにあたって、無期限に、大学法人の言うがままに建物等の施設整備をして、移管していかねばならないという条件を背負い込んでしまった出資者の県は、一体どれだけこの大学を持つことに覚悟をされているのでしょうか。
どれだけの信頼を得て学生たちを迎え入れるのか、どれだけこの長久手の地を理解してキャンパスを構成するか、どれだけ今の社会に答えるか、検討する事はいくらでもあります。 
学生たちは、先日県会議員を訪ね、その問題を県に問いかけてもらいましたが、県担当は真実のお話はされませんでした。
大学の施設整備委員長の教授が十数年かけてやると説明されているキャンパス整備工事が、中部経済にどれだけ資することになるのか、ただ多くのプロジェクトをスクラップアンドビルドで用意すればよいという時代はもはや終わってしまっています。もし今回の新音楽学部校舎建設を許せば、芸術大学そのものの存在意味が中身から問われることになり、今時まだこんなことをしてしまう中部圏そのものの信頼が疑われることになります。
どうか多額の県税を使うことになる今回のこの不必要な巨大プロジェクトを中止して、今何をなすべきか、御再考をして下さいますよう、切に希望致します。
よろしくお願い申し上げます。

緑豊かな愛知芸大のキャンパスを活かしていこう会
代表  近藤高史

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